【Android】Kotlin でモダンな concurrency その5

ライフサイクルとコルーチン

Actor は、UI管理にも便利で、タスクのキャンセルをシンプルにし、UIスレッドのオーバーロードを避けることができます。

まず、Activity に適用する JobHolder インターフェースを作成します。これは、セットしたタスクの親となり、それのキャンセルを可能にします。


interface JobHolder {
  val job: Job
}

Activity が destroy されるときに、job.cancel() を行います。


class MyActivity : AppCompatActivity(), JobHolder {

  override val job: Job = Job() // the instance of a Job for this activity

  override fun onDestroy() {
    super.onDestroy()
    job.cancel() // cancel the job when activity is destroyed
  }
}

Extension Function にして、JobHolder の すべての View からアクセス可能にします。


val View.contextJob: Job
  get() = (context as? JobHolder)?.job ?: NonCancellable

これらを組み合わせて、setOnClick に onClick のアクションを管理させるための conflated な Actor を作らせます。複数回の連続クリックは無視され、ANR を避けることができます。

そして、これらのアクションは、contextJob のコンテキストで実行されます。

また、Activity が destroy されるとキャンセルもされます。


fun View.setOnClick(action: suspend () -> Unit) {
  val eventActor = actor<Unit>(
    context = UI,
    start = CoroutineStart.UNDISPATCHED,
    capacity = Channel.CONFLATED,
    parent = contextJob
  ) {
    for (event in channel) action()
  }
  setOnClickListener { eventActor.offer(Unit) }
}

この例では、ここでは多すぎるイベントを無視するために Channel を conflated としてセットしています。すべてをイベントキューとしたい場合は、Channel.UNLIMITED とすることができます。その場合でも ANR は発生しません。

コルーチンとライフサイクルを組み合わせて、UIタスクのキャンセルを自動化することもできます。


val LifecycleOwner.untilDestroy: Job get() {
  val job = Job()

  lifecycle.addObserver(object: LifecycleObserver {
    @OnLifecycleEvent(Lifecycle.Event.ON_DESTROY)
    fun onDestroy() { job.cancel() }
  })
  return job
}

// 使い方
launch(UI, parent = untilDestroy) {
  // 何らかの処理
}

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【Android】Kotlin でモダンな concurrency その4

Channel を使ってコールバック不要に

Channel の定義 (JetBrains のドキュメントより):

Channel は、概念的に BlockingQueue とよく似ています。主な違いの一つは、Put の代わりに「送信中断」をを持ち、Take の代わりに「受信中断」を持つことです。

Blocking Queues

Actor

Channel をシンプルに使えるツールが Actor です。

Actor は Handler と非常によく似ており、コルーチンのコンテキスト(つまり、アクションを実行するスレッド)を定義し、シーケンシャルに実行します。

コルーチンを使っており、キャパシティを決めて実行を中断することができます。

Actor は基本的に、処理をコルーチンチャンネルに転送します。実行順序と実行するコンテキストを限定することを保証します。

これで、synchronize は不要となり、すべてのスレッドはフリーです。


protected val updateActor by lazy {
  actor<Update>(UI, capacity = Channel.UNLIMITED) {
    for (update in channel) when (update) {
      Refresh -> updateList()
        is Filter -> filter.filter(update.query)
        is MediaUpdate -> updateItems(update.mediaList as List<T>)
        is MediaAddition -> addMedia(update.media as T)
        is MediaListAddition -> addMedia(update.mediaList as List<T>)
        is MediaRemoval -> removeMedia(update.media as T)
    }
  }
}

// 使い方
suspend fun filter(query: String?) = updateActor.offer(Filter(query))

この例では、実行するアクションを選択する際、sealed クラスを利用しています。


sealed class Update
object Refresh : Update()
class Filter(val query: String?) : Update()
class MediaAddition(val media: Media) : Update()

すべてのアクションはキューとなり、決してパラレルには実行されません。mutable なものを密閉するにはいい方法です。

(つづく)

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Coroutine コンテキスト

Coroutine コンテキストでは、そのコードをどのスレッドで実行するか、exception がスローされたときの処理の方法、キャンセルを伝える親のコンテキストを定義します。


val job = Job()
val exceptionHandler = CoroutineExceptionHandler {
    coroutineContext, throwable -> whatever(throwable)
}

launch(CommonPool+exceptionHandler, parent = job) { ... }

job.cancel() は、それの保持しているすべての coroutine をキャンセルします。
そして exceptionHandler は、それらの中でスローされたすべて Exception を受け取ります。

(つづく)

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