Jetpack Compose のワンタイムイベントで SharedFlow をやめて Channel にした理由

Jetpack Compose で Snackbar、Navigation、Toast のような「一度だけ処理したいイベント」をどう扱うかは、多くの Android エンジニアが一度は悩むポイントです。

私も長い間 SharedFlow を使っていました。

しかし最終的には、Compose の UI イベント用途では Channel を使うようになりました。

この記事では、

- なぜ SharedFlow で問題が起きやすいのか
- なぜ Channel の方が自然だったのか
- Compose のライフサイクルと何が噛み合わないのか

を整理してみます。

 

🧑🏻‍💻 One-Time Event とは?

まず前提として、Compose には大きく 2 種類のデータがあります。


State
└─ 画面が「今どういう状態か」

Event
└─ 一度だけ実行したいもの

例えば:

State は「現在値」が重要です。

しかし Event は違います。

「発生した」という事実だけ重要

つまり:

- 1回だけ消費したい
- 再購読時に再実行したくない
- 画面回転で再発火したくない

という特徴があります。

 

🧑🏻‍💻 SharedFlow を使っていた頃

最初は多くのサンプルと同じように SharedFlow を使っていました。


private val _event = MutableSharedFlow<UiEvent>()
val event = _event.asSharedFlow()

UI 側では:


LaunchedEffect(Unit) {
    viewModel.event.collect { event ->
        when (event) {
            is UiEvent.ShowSnackbar -> {
                snackbarHostState.showSnackbar(event.message)
            }
        }
    }
}

一見すると問題なさそうです。

しかし実運用では、徐々に違和感が出てきました。

 

🧑🏻‍💻 Collector がいないとイベントが消える

SharedFlow(replay = 0) は、

購読者がいない時のイベントを保持しません

つまり:


ViewModel emits event
        ↓
Compose がまだ collect 開始していない
        ↓
イベント消失

が起きます。

特に Compose では:

- 画面遷移直後
- Lifecycle 切り替え
- BackStack 復帰
- 一時的な recomposition

などで collector の開始タイミングがズレやすいです。

 

🧑🏻‍💻 replay = 1 にすると今度は別問題

では replay = 1 にすれば良いのでしょうか?


MutableSharedFlow(
    replay = 1
)

これは確かにイベント消失を防ぎます。

しかし次は:

画面回転したら
昔のイベントが再配信される問題が発生します。

例えば:


Snackbar 表示
↓
画面回転
↓
Snackbar 再表示

これは UX 的にかなり不自然です。

Navigation だとさらに危険です。

画面回転しただけで
再度 navigate される

ことがあります。

 

🧑🏻‍💻 SharedFlow は「共有ストリーム」

ここで改めて考えると、SharedFlow は本来:

複数 collector に
同じデータを共有する

ための仕組みです。

つまり設計思想としては:

- 状態通知
- Broadcast
- Hot stream

寄りです。

一方 One-Time Event は:

- 1回だけ消費したい

なので、実は思想が少しズレています。

 

🧑🏻‍💻 Channel に変えた

そこで最終的にこうなりました。


private val _event = Channel<UiEvent>(
    capacity = Channel.BUFFERED
)

val event = _event.receiveAsFlow()

送信:


viewModelScope.launch {
    _event.send(
        UiEvent.ShowSnackbar("Saved")
    )
}

受信:


LaunchedEffect(Unit) {
    viewModel.event.collect { event ->
        when (event) {
            is UiEvent.ShowSnackbar -> {
                snackbarHostState.showSnackbar(event.message)
            }
        }
    }
}

 

🧑🏻‍💻 なぜ Channel の方が自然だったのか

Channel は:

Queue

です。

つまり:


送る
↓
溜まる
↓
1個ずつ消費

になります。

これは One-Time Event の性質にかなり近いです。

特に:

- Snackbar
- Navigation
- Dialog
- Toast

のような

順番に1回だけ処理したい

イベントと相性が良いです。

 

🧑🏻‍💻 BUFFERED が重要

Compose では collector が少し遅れて開始することがあります。

そのため:

Channel.BUFFERED

を使うことで、

collector 開始前のイベント

もある程度保持できます。

これは SharedFlow(replay = 0) よりかなり扱いやすく感じました。

 

🧑🏻‍💻 ただし Channel にも注意点はある

もちろん Channel が万能ではありません。

特に重要なのは:

基本的に single consumer 前提

である点です。

つまり:

複数 collector が同時に collect

すると、どこが消費するか不定になります。

そのため:

UI Event 専用

として割り切るのが重要です。

 

🧑🏻‍💻 個人的な使い分け

現在は大体こう整理しています。

かなり安定しました。

 

🧑🏻‍💻 Compose では「State」と「Event」を分けるのが重要

Compose は State 管理が非常に強力です。

しかしその反面、

Event を State と同じ感覚で扱う

と事故りやすいです。

特に:

- Snackbar
- Navigation
- Dialog
- Permission request

などは:

状態ではなく副作用

として考えた方が整理しやすいです。

 

🧑🏻‍💻 まとめ

SharedFlow は優秀ですが、

One-Time Event に完全最適

とは限りません。

Compose のライフサイクルと組み合わさると:

- イベント消失
- replay 問題
- collector timing 問題

に遭遇しやすいです。

一方 Channel は:

FIFO queue

として動作するため、

- 一度だけ処理したい
- 順番保証したい
- 再配信したくない

という UI Event とかなり自然に噛み合いました。

最近は:

State は StateFlow
Event は Channel

という形に落ち着いています。

 

🤔 参考


Androidアーキテクチャの現状:GoogleのUDFと現実世界の「MVI風MVVM」の比較

現代のAndroid開発においてどのアーキテクチャを採用するかを議論する際、議論はほぼ常にMVVM対MVIのどちらにするかという点に集約されます。

しかし、近年の傾向を見ると、この2つは対立する力ではなく、収束しつつあることは明らかです。

 

🧑🏻‍💻 Googleの立場:特定のパターン名よりもUDFを優先

Googleの公式「アプリアーキテクチャガイド」を詳しく見てみると、「MVI」という用語はほとんど出てこないことに気づくでしょう。その代わりに、Googleは一貫してUDF(単方向データフロー)という概念を推奨しています。

Googleは、コミュニティに既に馴染みのある「MVI」ではなく、なぜ抽象的な用語である「UDF」を使用するのでしょうか?

その理由は、Googleが柔軟性を重視していることにあり、彼らの哲学は次のようなものと思われます。

「MVIのような厳格な命名規則にとらわれすぎないでください。アーキテクチャの本質である一方向のデータフローが維持されるようにするだけで十分です。」

Reduxのような厳密な状態管理ライブラリを使用する場合でも、シンプルなViewModelで実装する場合でも、Googleが重視するのは「状態は下へ流れ、イベントは上へ流れる」という基本原則に従うことです。

 

🧑🏻‍💻 現代の標準:MVI風MVVMの実装

現場では、Googleが推奨するUDFに対する最も一般的なアプローチは、私が「MVI風味のMVVM」と呼ぶもので、MVIルールをMVVMコンテナに詰め込むものです。これには、状態、意図、効果という3つのコア要素が含まれます。

実際には以下のようになります。


【Jetpack Compose Navigation3】EntryDecorator と ViewModel の「key」の深い関係

Jetpack Compose の Navigation3 では、画面遷移の引数として RouteB(val id: String) のようなデータクラスを渡します。

このとき、同じ RouteB でも id が違えば「別の画面(別の ViewModel)」として扱いたいですよね。

ここで重要になるのが EntryDecoratorviewModel(key = ...) の関係です。

 

🤔 結論:Decorator が「鍵」を管理してくれるか否か

一言でいうと、こうなります。

Decorator を使わない場合:
手動で viewModel(key = "unique_id") を指定する必要がある。

Decorator を使えば:
viewModel() の引数は不要。
Decorator が自動で各エントリに個別の ViewModelStore を割り当ててくれる。

 

🤔 1. Decorator を使わないパターン(手動管理)

Navigation3 の基本機能 NavDisplay を使う場合、ViewModel の生存期間はデフォルトの「Activity 全体」に紐づきます。

同じ RouteB でも id ごとに ViewModel を作り分けたい場合、以下のように手動で key を渡して、内部のキャッシュを分ける必要があります。


entry<RouteB> { key ->
    // key(RouteBのインスタンス)の id を使って、ViewModelを区別する
    val vm = viewModel(
        key = key.id, // ← これが必要!
        factory = RouteBViewModel.Factory(key)
    )
    ScreenB(vm)
}

これを忘れると、id = "1" の画面から id = "2" の画面へ遷移しても、同じ ViewModel インスタンスが使い回されてしまい、表示内容が更新されない というバグに繋がります。

 

🤔 2. Decorator を使うパターン(Navigation3 の推奨)

サンプルの BasicViewModelsActivity で採用されている方法です。

NavDisplay の設定に rememberViewModelStoreNavEntryDecorator() を追加します。


NavDisplay(
    backStack = backStack,
    entryDecorators = listOf(
        rememberSaveableStateHolderNavEntryDecorator(),
        rememberViewModelStoreNavEntryDecorator() // ← これが魔法のスパイス
    ),
    entryProvider = entryProvider {
        entry<RouteB> { key ->
            // key 指定が不要になる!
            val vm = viewModel(factory = RouteBViewModel.Factory(key))
            ScreenB(vm)
        }
    }
)

なぜ key が不要になるのか?

ViewModelStoreNavEntryDecorator は、バックスタックにある 「各エントリ(NavEntry)」ごとに独立した ViewModelStore を生成してくれます。

RouteB("1") のエントリ ➔ 専用の ViewModelStore A が用意される

RouteB("2") のエントリ ➔ 専用の ViewModelStore B が用意される

viewModel() 関数は、その時点の LocalViewModelStoreOwner(Decorator が提供するエントリごとのストア)を参照します。そのため、わざわざ key を指定しなくても、エントリが違えば自動的に別の ViewModel が作られる仕組みです。

 

🤔 まとめ:どっちを使うべき?

基本的には「Decorator を使う」のが正解です。

理由1:
コードがシンプルになる(key の指定漏れがなくなる)。

理由2:
画面を戻ったときに ViewModel が正しく破棄されるなど、ライフサイクル管理が Navigation3 のエントリと完全に同期する。

「この画面だけは特殊な管理をしたい」という場合を除き、rememberViewModelStoreNavEntryDecorator() をセットアップして、型安全な key をそのまま Factory に渡すスタイルを基本にしましょう。


RxJavaすら使わない。Androidに潜む「古代Java」の亡霊たち

JavaエンジニアがKotlinに移行する際、最も危険なのは「Kotlinの文法でJava5の頃の思考で書く」ことです。

RxJava(リアクティブプログラミング)という高い壁を飛び越えようとして、逆に20年前の古典的手法に着地してしまうケースが後を絶ちません。


fun loadUser(callback: (User?) -> Unit) {
    api.getUser { user ->
        if (user != null) {
            database.save(user) {
                cache.update(user) {
                    analytics.track(user) {
                        callback(user)
                    }
                }
            }
        } else {
            callback(null)
        }
    }
}


interface OnUserLoadedListener {
    fun onLoaded(user: User)
}

fun loadUser(listener: OnUserLoadedListener) {
    api.getUser(object : ApiCallback {
        override fun onSuccess(user: User) {
            database.save(user, object : SaveCallback {
                override fun onSaved() {
                    listener.onLoaded(user)
                }
            })
        }

        override fun onError() {
        }
    })
}

 

🤔 1. RxJava以前の「古代遺物」がモダンなKotlinを侵食する

RxJavaすら導入されていない現場、あるいは「Rxは難しいから」と避けた結果、以下のような絶滅危惧種がKotlinの皮を被って出現します。

① 独自インターフェースによる「バケツリレー」

interface MyCallback を定義し、それを Activity から Presenter(あるいは ViewModel)、さらに Repository へと引数で渡していくスタイルです。

地獄のポイント: 1つの処理を追うのに3つ以上のファイルを跨ぐ必要があり、デバッグ中に「今どこにいるのか」を見失います。

② AsyncTask の「自力再実装」

Googleが非推奨にした AsyncTask ですら、中身はスレッド管理とコールバックの塊でした。これをKotlinの Thread { ... }Handler(Looper.getMainLooper()) で自作再現してしまうパターンです。

地獄のポイント: isDestroyed のチェックを忘れ、画面を閉じた後にクラッシュ(NullPointerException)させる「爆弾」を量産します。

③ MutableList を使った共有メモリの恐怖

非同期の戻り値を待てず、外部の MutableList に値を詰め込ませ、別の場所で TimerThread.sleep を使って「値が入ったか監視する」という、スレッドセーフを無視した力技です。

 

🤔 2. なぜ「古代手法」は再生産されるのか?

それは、Javaエンジニアが長年培ってきた「命令型プログラミング」の呪縛です。

「待つ」という概念の欠如: 「処理を止めたらスレッドが死ぬ(UIが固まる)」という恐怖心から、すべてを「終わったらこれを呼べ」という受動的な構造(ハリウッド原則)にしてしまいます。

状態管理の煩雑さ: 古いJavaでは、状態の変化を「通知」する仕組みが乏しかったため、泥臭いフラグ管理やコールバックに頼らざるを得ませんでした。

 

🤔 3. 歴史の授業:非同期処理の進化系統図

今のAndroid開発者が知っておくべき、技術の「地層」は以下の通りです。

 

🤔 4. まとめ:レガシーの鎖を断ち切るために

Javaエンジニアの皆さんが持つ「堅牢なクラス設計」の知識は宝です。しかし、「非同期処理の書き方」だけは、一度全て忘れてください

Kotlinにおける suspend は、ただのキーワードではありません。それは、私たちが10年以上苦しめられてきた「コールバック地獄」という名の迷宮から脱出するための、唯一の出口なのです。


Kotlin StateFlow: value vs. update – Which One Should You Use?

When updating a MutableStateFlow, you have two options. Here is how to decide instantly.

 

🧑🏻‍💻 The Golden Rule

  • Use update { } if the new value depends on the current value (e.g., incrementing a counter, toggling a boolean).
  • Use value = if you are completely overwriting the state (e.g., setting a loading state, resetting data).

 

🧑🏻‍💻 Why does it matter?

Direct assignment (value = ...) is not thread-safe for "read-modify-write" operations.

If two coroutines try to update the state simultaneously using .value = .value + 1, you risk a Race Condition where one update is lost.

The update function is atomic. It uses a Compare-And-Set mechanism to ensure that updates happen sequentially and safely, even across multiple threads.

 

🧑🏻‍💻 Code Comparison

❌ Risky (Race Condition prone)


// If called concurrently, updates might be lost
_uiState.value = _uiState.value.copy(count = _uiState.value.count + 1)

✅ Safe (Thread-safe)


// Guarantees consistency
_uiState.update { it.copy(count = it.count + 1) }

✅ Safe (Overwrite)


// No race condition risk because we ignore the previous state
_uiState.value = UiState.Loading

 

🧑🏻‍💻 Summary

When in doubt, use update. It is safer by default and prevents subtle concurrency bugs.