Androidアーキテクチャの現状:GoogleのUDFと現実世界の「MVI風MVVM」の比較

現代のAndroid開発においてどのアーキテクチャを採用するかを議論する際、議論はほぼ常にMVVM対MVIのどちらにするかという点に集約されます。

しかし、近年の傾向を見ると、この2つは対立する力ではなく、収束しつつあることは明らかです。

 

🧑🏻‍💻 Googleの立場:特定のパターン名よりもUDFを優先

Googleの公式「アプリアーキテクチャガイド」を詳しく見てみると、「MVI」という用語はほとんど出てこないことに気づくでしょう。その代わりに、Googleは一貫してUDF(単方向データフロー)という概念を推奨しています。

Googleは、コミュニティに既に馴染みのある「MVI」ではなく、なぜ抽象的な用語である「UDF」を使用するのでしょうか?

その理由は、Googleが柔軟性を重視していることにあり、彼らの哲学は次のようなものと思われます。

「MVIのような厳格な命名規則にとらわれすぎないでください。アーキテクチャの本質である一方向のデータフローが維持されるようにするだけで十分です。」

Reduxのような厳密な状態管理ライブラリを使用する場合でも、シンプルなViewModelで実装する場合でも、Googleが重視するのは「状態は下へ流れ、イベントは上へ流れる」という基本原則に従うことです。

 

🧑🏻‍💻 現代の標準:MVI風MVVMの実装

現場では、Googleが推奨するUDFに対する最も一般的なアプローチは、私が「MVI風味のMVVM」と呼ぶもので、MVIルールをMVVMコンテナに詰め込むものです。これには、状態、意図、効果という3つのコア要素が含まれます。

実際には以下のようになります。


Composeのバケツリレーが限界? CompositionLocalでスマートに解決

etpack Composeで階層が深くなると発生する「バケツリレー(Prop Drilling)」。

「自分(中間コンポーネント)は使わないのに、孫に渡すためだけに引数を定義する」という不毛な作業は、CompositionLocal でスマートにショートカットしましょう。

🧑🏻‍💻 1. CompositionLocal の仕組み

通常、データは「親 → 子 → 孫」と引数で手渡ししますが、CompositionLocal はツリー全体にデータを「漂わせる」イメージです。

下の階層にいるコンポーネントは、必要なときにそのデータを「キャッチ」するだけで済みます。

🧑🏻‍💻 2. 実装例:2つのデータ(名前と色)を孫まで飛ばす

「ユーザー名」と「テーマカラー」の2つのデータを、中間の「子」を介さずに「孫」へ届けます。

① データの「鍵」を定義する

まず、共有したいデータの種類ごとに CompositionLocal オブジェクトを作成します。


import androidx.compose.runtime.staticCompositionLocalOf
import androidx.compose.ui.graphics.Color

// 1. 各データの「鍵」を作成(デフォルト値を設定)
val LocalUserName = staticCompositionLocalOf { "ゲスト" }
val LocalUserColor = staticCompositionLocalOf { Color.Black }

② 親・子・孫の実装

中間の ChildView が引数を一つも受け取っていない点に注目してください。


@Composable
fun ParentScreen() {
    val name = "桃太郎"
    val brandColor = Color(0xFFFF5722) // オレンジ

    // 2. CompositionLocalProvider で値を注入(複数一気に指定可能)
    CompositionLocalProvider(
        LocalUserName provides name,
        LocalUserColor provides brandColor
    ) {
        // 子を呼び出す(引数で渡す必要なし!)
        ChildView()
    }
}

// --- 中間のコンポーネント ---
@Composable
fun ChildView() {
    // 自身はデータを使わないので、引数も処理もスッキリ!
    println("ChildView: 私は何も知りません。")
    GrandChildView()
}

// --- データの使い道がある末端(孫) ---
@Composable
fun GrandChildView() {
    // 3. .current を使って必要なデータだけを直接取得
    val name = LocalUserName.current
    val color = LocalUserColor.current

    Column {
        Text(text = "こんにちは、${name}さん!", color = color)
        Text(text = "親から直接データを受け取りました。")
    }
}

🧑🏻‍💻 3. なぜ「2方向」でも楽なのか?

バケツリレーの場合、渡す項目が「名前」「色」「権限」「ID」と増えるたびに、ルートから末端までの全関数の引数を書き直す必要があります。

CompositionLocal なら:
親: provides を追加するだけ

子: 修正不要(ここが最大のメリット!)

孫: .current で取り出すだけ

🧑🏻‍💻 4. 注意点:使いすぎに注意!

魔法のように便利な CompositionLocal ですが、使いすぎると「このコンポーネントは何に依存しているのか?」がコードから読み取りにくくなります。

推奨: アプリ全体のテーマ(色・フォント)、ログインユーザー情報、ロケール設定など。

非推奨: その画面内の特定のボタンでしか使わないような一時的なフラグ。

バケツリレーが3階層を超え、中間コンポーネントが「ただの運び屋」になっていたら、CompositionLocal への切り替え時かもしれません。


「process death」とは何?

Androidにおける Process Death (プロセス終了) とは、システムがメモリ不足(Memory Pressure)になった際に、バックグラウンドにあるアプリのプロセスを OS が強制的に終了させる仕組みのことです。

ユーザーがアプリを閉じたり明示的に終了させたりする「通常の終了」とは異なり、OS側の都合で実行されるため、適切な対策をしないとアプリに戻った際にデータが消えてしまう原因になります。

 

🤔 なぜ気ににする必要があるのか

長いお問い合わせフォームを入力中に、少し調べ物をして戻ったら全部消えていた。

ECサイトで商品を比較していたのに、トップ画面に戻された。

「このアプリは不安定だ」「使いにくい」と思われ、アンインストールや低評価に直結します。

 

🤔 予期せぬクラッシュを防ぐため

Process Death からの復帰時、OSは「最後に開いていた画面」をいきなり表示しようとします。

もし、その画面が 「前の画面から渡されたデータ(IDなど)」 に依存しているのに、それをメモリ上の変数(ViewModelのフィールドなど)にしか持っていなかった場合、復帰した瞬間にデータが null や空になり、アプリがクラッシュします。

 

🤔 「バックグラウンド=一時停止」ではない

Androidの設計思想では、アプリがバックグラウンドに回った瞬間から、いつ消されても文句は言えないことになっています。

「メモリが潤沢にあるから大丈夫だろう」という想定は、現代のAndroid(特にバックグラウンドで動くサービスや重いゲームが多い環境)では通用しません。

「プロセスは必ずいつか死ぬ」という前提で設計することが、Android開発におけるプロフェッショナルな作法とされています。

 

🤔 開発時の確認方法

以下で開発時に確認しておくのがいいです。


1. アプリを起動したあと、ホーム画面に移動する。(終了させるのではなくて、バックグラウンドに移動する)

2. adb shell am kill <アプリのパッケージ名>

3. アプリの起動履歴から再度アプリを選択する。

注意: am force-stop とは異なり、am kill はバックグラウンドにいるアプリに対して「メモリが足りなくなったからシステムが回収した」という状態をシミュレートします。

起動履歴から再度アプリを起動したときに、バックグラウンドに移動する前の画面と同じものが表示されれば OK です。

 

🤔 まとめ

上記手順でやってみました。

これでOK!!


Navigation3 entryProvider DSLの使い方と設計

「手動マッピング(命令型)」か、「DSLマッピング(宣言型・型安全)か」

ということなります。

これまで:
when 式などを使って、ルートごとに手動でインスタンスを生成・紐付けするスタイル。自由度は高いですが、記述量が増えやすく、型の不整合も起きがちです。

DSL形式:
entry() のように、型を渡すだけで自動的にマッピングを完結させるスタイル。ボイラープレートが排除され、型安全性が保証されます。

 

🤔 比較してみる


entryProvider = { key ->
    when (key) {
        is RouteA -> NavEntry(key) { ... }
        is RouteB -> NavEntry(key) { ... }
        else -> error()
    }
}

  • key は Any
  • Any → is チェック必須
  • 毎回 is RouteB などの分岐が必要


entryProvider = entryProvider {
    entry<RouteA> { ... }
    entry<RouteB> { key ->
        Text(key.id)
    }
}

  • key は 型付き (RouteB)
  • 分岐不要
  • entry → コンパイル時保証

 

🤔 まとめ


NavDisplay
  └ entryProvider (lambda)
       └ when(key)
            ├ RouteA → NavEntry + UI
            ├ RouteB → NavEntry + UI
            └ else → error


NavDisplay
  └ entryProvider (DSL)
       ├ entry<RouteA> { UI }
       └ entry<RouteB> { key -> UI(key.id) }

DSLは便利だが、抽象化が増えるため「内部の仕組み」が見えにくい感じに思います。


Jetpack Compose における State と Effect の境界線:ワンショットイベントに Channel を採用する理由

Jetpack Compose で開発をしていると、必ず直面する問いがあります。

「これは State として保持すべきか、それとも Effect(副作用)として処理すべきか?」

という問題です。

Compose の宣言的 UI パラダイムにおいて、この境界線を曖昧にすると、画面回転時の二重トーストや、意図しない画面遷移といったバグを招きます。

本記事では、その明確な使い分けと、イベント制御における Kotlin Channel の有効性について解説します。

 

🧑🏻‍💻 1. 「状態 (State)」と「副作用 (Effect)」の本質的な違い

使い分けの基準はシンプルです。

「そのデータは、UI のスナップショットの一部か?」

と自問してください。

State:UI の「今」を表すもの

State は、再構成(Recomposition)によって何度読み込まれても同じ結果を示すべきものです。

  • 例: テキストフィールドの入力値、読み込み中フラグ、リストデータ
  • 性質: 保持(Retention)

Effect:UI の「外」で起きる一回きりのこと

Effect は、Compose のレンダリングサイクルとは独立して実行される処理です。

  • 例: ログ出力、アナリティクス送信、タイマーの開始
  • 性質: 実行(Execution)

 

🧑🏻‍💻 2. ワンショットイベントの罠:StateFlow vs Channel

ここで問題になるのが、トースト表示や画面遷移のような「一度だけ実行したいアクション」です。

これらを StateFlow で管理しようとすると、Android 特有のライフサイクル問題にぶつかります。

StateFlow の限界

StateFlow は常に「最新の状態」を保持します。

1. エラーが発生し、State を ErrorMessage("Failed") に更新。
2. UI がそれを検知してトーストを表示。
3. ここで画面を回転させる。
4. 新しい Activity が StateFlow を購読し、最新の "Failed" を再び受け取ってしまう。
5. トーストが二重に表示される。

これを防ぐために「フラグを戻す」処理を挟むのは、シンプルではありません。

 

🧑🏻‍💻 3. Channel は「消費されるイベント」に最適である

そこで登場するのが Channel です。Channel は、「土管」のような振る舞いをします。

  • 一度きりの配送: 誰かがイベントを受け取った(消費した)瞬間、そのイベントは Channel から消えます。
  • 画面回転に強い: 新しい Activity が再購読しても、古いイベントは既に消費されているため、二重実行は発生しません。
  • バッファの活用: Channel.BUFFERED を使うことで、アプリがバックグラウンドにいる間に発生したイベントも、フォアグラウンドに戻った瞬間に安全に処理できます。

 

🧑🏻‍💻 4. 実装のベストプラクティス

私のプロジェクトでは、以下のような棲み分けを徹底しています。


// ViewModel

// UI の状態(表示データ)
private val _uiState = MutableStateFlow(UiState())
val uiState = _uiState.asStateFlow()

// UI へのイベント(ワンショット)
private val _eventChannel = Channel<UiEvent>(Channel.BUFFERED)
val events = _eventChannel.receiveAsFlow()


// UI (Compose)

LaunchedEffect(Unit) {
    viewModel.events.collect { event ->
        when (event) {
            is UiEvent.ShowSnackbar -> snackbarHostState.showSnackbar(event.message)
            is UiEvent.NavigateToDetail -> navController.navigate("detail")
        }
    }
}

 

🧑🏻‍💻 まとめ

  • 永続的な見た目に関わるなら State (StateFlow)。
  • 一過性の挙動に関わるなら Effect (Channel)。

複雑なフラグ管理でコードを汚す前に、ツールが持つ「自然な性質」を利用しましょう。

Channel を使うことは、Compose におけるイベントハンドリングを最もシンプルにする考え方の一つです。