Jetpack Compose 移行完了チェック:旧 AndroidView システムを安全に完全削除できたか確認する

プロダクション環境のAndroidアプリを Jetpack Compose へ移行する作業は、一朝一夕で完了するものではありません。

中〜大規模のコードベースでは、移行は段階的に進むのが一般的です。そのため、XMLレイアウト、ComposeView、AndroidView が、モダンなComposableと数ヶ月〜数年にわたって共存することになります。

段階的な移行は最も安全なアプローチです。しかし、移行が完了したあとも古いインフラを残したままにしておくと、無駄な複雑さが増すだけになってしまいます。

ここで生まれるのが、

「本当に移行が完了したと、どうやって判断すればいいのか?」

という疑問です。

この記事では、アプリから旧Viewシステムのコードを安全に削除し、完全移行を果たすための実践的なチェック方法を紹介します。

 

🧑🏻‍💻 ビルド設定(buildFeatures)をオフにする

まずは一番わかりやすいビルド設定から見直しましょう。

View Binding や Data Binding なしでビルドできれば、旧Viewシステムへの大きな依存を断ち切れた証拠になります。

モジュールレベルの build.gradle.kts を確認・修正します。


android {
    // ...

    buildFeatures {
        compose = true

        viewBinding = false
        dataBinding = false
    }
}

続いて、依存関係を見直し、不要になったライブラリを削除します。


dependencies {
    // 不要になった旧Viewシステムの依存関係を削除

    // implementation("com.google.android.material:compose-theme-adapter:...")
    // implementation("androidx.appcompat:appcompat:...")
    // implementation("androidx.constraintlayout:constraintlayout:...")
    // implementation("androidx.navigation:navigation-fragment-ktx:...")
    // implementation("androidx.navigation:navigation-ui-ktx:...")
}

 

🧑🏻‍💻 エントリーポイントを Compose 単一にする

完全移行したアプリでは、UIをホストするためだけに FragmentActivity や NavHostFragment を使う必要はありません。

メインのエントリーポイントは、シンプルな ComponentActivity で十分です。


class MainActivity : ComponentActivity() {

    override fun onCreate(savedInstanceState: Bundle?) {
        super.onCreate(savedInstanceState)

        setContent {
            AppTheme {
                AppNavigation()
            }
        }
    }
}

もちろん、以下のようなコードは完全に不要になります。


// 不要!
setContentView(R.layout.activity_main)

Activityは、XMLレイアウトのコンテナではなく、Compose UIへのエントリーポイントとして機能するようになります。

 

🧑🏻‍💻 相互運用(Interop)のためのブリッジコードを削除する

移行期間中、ComposeView や AndroidView といったAPIは非常に強力な味方でした。これらのおかげで、View システムとCompose の境界線を段階的にまたぐことができたからです。

しかし、移行が終わったのであれば、これらの「架け橋」は役目を終えています。

プロジェクト全体で以下を検索してみてください。

- ComposeView

- AndroidView

- androidx.fragment.app.Fragment

目指すべき残存数は「0」です。

例えば、以下のようなコードは存在しなくなるはずです。


// これらはもう不要
val composeView = ComposeView(context).apply {
    setContent {
        MainScreen()
    }
}

また、こちらも同様です。


// これらも不要
AndroidView(
    factory = { context ->
        CustomLegacyView(context)
    }
)

重要な考え方はシンプルです。

「相互運用(Interop)は足場であって、目的地ではない」 ということです。

 

🧑🏻‍💻 デザインシステムを Compose 純正にする

完全移行したアプリでは、デザイントークンをKotlinコード内で直接定義できます。


@Composable
fun AppTheme(
    darkTheme: Boolean = isSystemInDarkTheme(),
    content: @Composable () -> Unit
) {
    val colorScheme =
        if (darkTheme) DarkColorScheme
        else LightColorScheme

    MaterialTheme(
        colorScheme = colorScheme,
        typography = AppTypography,
        shapes = AppShapes,
        content = content
    )
}

カラー、タイポグラフィ、シェイプなどを Compose に適用するためだけに、res/values/styles.xml を参照する必要はもうありません。

UIテクノロジーと信頼できる唯一の情報源(Source of Truth)が同じ Kotlin コード上に並ぶため、デザインシステムの保守性・見通しが大幅に向上します。

 

🧑🏻‍💻 ナビゲーションを宣言型にする

画面遷移(ナビゲーション)についても、XMLの Navigation Graph や Fragment トランザクションから脱却しましょう。

ルート(Route)、引数(Arguments)、画面(Destinations)は、Compose Navigation のセットアップ内で直接管理できます。


@Serializable
data object Home : NavKey

@Serializable
data class Detail(val id: String) : NavKey

@Composable
fun AppNavigation() {
    val backStack = rememberNavBackStack(Home)

    NavDisplay(
        backStack = backStack,
        entryProvider = entryProvider {
            entry<Home> {
                HomeScreen(
                    onOpenDetail = { id ->
                        backStack.add(Detail(id))
                    }
                )
            }

            entry<Detail> { key ->
                DetailScreen(
                    id = key.id
                )
            }
        }
    )
}

ここでの目的は、単に「XMLをKotlinに置き換える」ことではありません。

本質は、Fragmentベースのナビゲーション層を取り払い、UIと同じ「宣言型アーキテクチャ」にナビゲーション構造を一致させることにあります。

 

🧑🏻‍💻 最後にリポジトリ全体を走査する

「移行完了!」と宣言する前に、古いUIシステムを引き戻してしまうようなコードが残っていないか、リポジトリ全体を検索して確認しましょう。

ターミナルで以下のコマンドを実行してみるのがおすすめです。


# 残っているUI用XMLレイアウトのチェック
find app/src/main/res/layout -name "*.xml"

# Compose / View 相互運用コードの検索
grep -rn "ComposeView" app/src/main/java/
grep -rn "AndroidView" app/src/main/java/

# Fragment の使用箇所の検索
grep -rn "androidx.fragment.app.Fragment" app/src/main/java/

理想的な状態は以下の通りです。

・ res/layout にUIレイアウト用のXMLが存在しない

・ ComposeView の使用箇所が 0 である

・ AndroidView の使用箇所が 0 である

・ Fragment ベースの画面が存在しない

・ View Binding および Data Binding が無効化されている

・ テーマがXMLスタイルに依存していない

・ ナビゲーションが Fragment インフラに依存していない

 

🧑🏻‍💻 まとめ

100% Jetpack Compose への移行とは、単に XML ファイルを Composable 関数に書き換えることではありません。

本当のゴールは、「旧 View システムがアプリの UI アーキテクチャから完全に消え去ること」 です。

【移行前】


Activity
 └─ Fragment
     └─ XML
         └─ View
             └─ ComposeView
                 └─ Compose

【移行後】


Activity
 └─ Compose
     ├─ Theme
     ├─ Navigation
     └─ Screens

私たちの目標は、単に「Compose を使っている」と言うことではありません。

「もうViewシステムを必要としない」 状態を作ることこそが、本当のゴールなのです。


Google推奨 MVVM と MVI の違い

Android の UI アーキテクチャでは、MVVM と MVI のどちらを選ぶべきかという議論がよくあります。

ただし、現在の Google の公式ガイドを見ると、重要なのは「MVVM か MVI か」という名前ではありません。

Google が推奨している中心的な考え方は、UDF(Unidirectional Data Flow), UI State・State Holder, ViewModel です。

その上で、MVI はより厳密に「すべての入力を Action として集約し、Reducer で State を生成する」方向へ進めたアーキテクチャとして考えることができます。

 

🧑🏻‍💻 1. Input Processing — Event の処理

MVVM: ViewModel のメソッドを直接呼び出す

UI から発生したイベントごとに、対応する ViewModel のメソッドを呼び出します。


Button(
    onClick = { viewModel.onSubmitClicked() }
)


fun onSubmitClicked() {
    viewModelScope.launch {
        ...
    }
}

このスタイルでは、UI イベントと ViewModel の API が直接対応します。

Google の Compose アーキテクチャガイドでも、UI イベントを ViewModel の onSignIn() のようなメソッドで処理する例が示されています。

MVI: Single Entry Point

MVI では、UI からの入力を Intent や Action に変換し、1つの入口に集約することがあります。


Button(
    onClick = { viewModel.onIntent(UserIntent.Submit) }
)


sealed interface UserIntent {
    data object Submit : UserIntent
    data object Refresh : UserIntent
}

fun onIntent(intent: UserIntent) {
    ...
}

これにより、UI → ViewModel の入力経路を1本化できます。

すべての入力を同じ形式で扱えるため、ログやテスト、イベント追跡を統一しやすくなります。

 

🧑🏻‍💻 2. State Reduction — State の更新

MVVM: ViewModel の処理から State を更新する

MVVM では、ViewModel の各メソッドが非同期処理を行い、その結果を UiState に反映する構成が一般的です。


fun loadData() {
    viewModelScope.launch {
        val result = repository.getData()

        _uiState.update {
            it.copy(data = result)
        }
    }
}

この場合、State を変更する場所は ViewModel 内の複数のメソッドに分散する可能性があります。

その代わり、コードが比較的シンプルで、処理の流れを直接追いやすいというメリットがあります。

MVI: Reducer で State を計算する

MVI では、現在の State と Action から次の State を計算する reduce を中心に据えることができます。


fun reduce(
    oldState: UiState,
    action: Action
): UiState =
    when (action) {
        is Action.DataLoaded ->
            oldState.copy(data = action.data)

        is Action.Loading ->
            oldState.copy(isLoading = true)
    }

ここで重要なのは、


Current State + Action
          ↓
       Reducer
          ↓
      Next State

という形にすることです。

Reducer を純粋関数として設計すれば、同じ State と Action から常に同じ State を生成するという性質を持たせられます。

そのため、State 遷移のテストやログの再現が容易になります。

 

🧑🏻‍💻 3. Output Processing — UI 更新と Side Effect

MVVM: State を中心に UI を更新する

Google の現在の Android アーキテクチャガイドは、ViewModel が UI State を生成し、UI がそれを購読する UDF を推奨しています。


val uiState: StateFlow<UiState> =
    _uiState.asStateFlow()

val state by viewModel.uiState
    .collectAsStateWithLifecycle()

例えば Snackbar を UI State に含める実装では、UI が State の変化を監視して表示できます。


LaunchedEffect(state.userMessage) {
    state.userMessage?.let {
        snackbarHostState.showSnackbar(it)
        viewModel.onMessageShown()
    }
}

この方式では、


ViewModel
    ↓
 UiState
    ↓
   UI

という一本の State Flow に寄せることができます。

なお、「一度だけ実行したいイベントを State に入れるべきか」については、現在の Google のガイドラインでは以前より明確に State 中心へ寄っています。

Google は ViewModel から UI へ直接イベントを送るのではなく、イベントの結果を UI State に反映することを推奨しています。

MVI: State と Effect を分離する

一方、MVI では永続的な UI State と、一度だけ実行したい Side Effect を分離する設計も一般的です。


private val _effect = Channel<UiEffect>()

val effect = _effect.receiveAsFlow()

val state by viewModel.state
    .collectAsStateWithLifecycle()

UI 側では、


LaunchedEffect(Unit) {
    viewModel.effect.collect { effect ->
        when (effect) {
            is UiEffect.ShowSnackbar ->
                snackbarHostState.showSnackbar(
                    effect.message
                )
        }
    }
}

のように State と Effect を別々に処理します。


      ┌───────────┐
      │ ViewModel │
      └─────┬─────┘
            │
   ┌────────┴────────┐
   ↓                 ↓
UiState           UiEffect
   ↓                 ↓
  UI            Side Effect

この設計のメリットは、「画面を表現する State」と「UI に一度だけ何かをさせる Effect」の責務を明確に分離できることです。

一方で、Channel や SharedFlow、Effect の lifecycle や delivery guarantee まで設計する必要があり、複雑さも増えます。

 

🧑🏻‍💻 4. MVVM と MVI の違いを整理する

 

🧑🏻‍💻 5. 「MVVM vs MVI」ではなく「どこまで厳密にするか」

ここで重要なのは、MVVM と MVI は完全に対立するものではないということです。


              UDF
               │
     ┌─────────┴─────────┐
     ↓                   ↓
   MVVM                  MVI
     │                   │
ViewModel          Intent / Action
     │                   │
UI State             Reducer
     │                   │
     └─────────┬─────────┘
               ↓
              UI

Google の公式ガイドが推奨しているのは、MVI という名前ではなく、UDF によって UI State を一方向に流し、ViewModel などの State Holder がユーザーイベントを処理する構造です。

そのため、ViewModel に複数のイベントハンドラを持たせること自体が「悪い MVVM」なのではありません。

むしろ Google の公式サンプルでも、onSignIn() のようなイベントハンドラを ViewModel に公開する形が使われています。

MVI はそこからさらに一歩進めて、

UI Event


   ↓
Intent / Action
   ↓
Reducer
   ↓
UiState
   ↓
UI

という形に統一することで、状態遷移そのものをアーキテクチャの中心に置く考え方だと言えます。

 

🧑🏻‍💻 6. どちらを選ぶべきか

シンプルな画面

- MVVM + UDF が適しています。
- ViewModel のメソッドを直接呼び出すだけで十分です。

状態遷移が複雑な画面

- MVI の考え方が有効です。
- Action と Reducer を明確に分離することで、状態遷移を追いやすくできます。

大規模チーム

- MVI のような厳密なルールが、チーム内の実装パターンを統一する助けになる場合があります。
- ただし、Reducer や Intent、Effect を増やすこと自体が目的になってはいけません。

重要なのはアーキテクチャの名前ではありません。

- State をどこに置くのか。
- 誰が State を変更するのか。
- Event をどこで処理するのか。
- UI に何を State として公開するのか。
- UI Effect をどのように扱うのか。

これらを明確にすることが、MVVM と MVI を選択する本質です。

 

🧑🏻‍💻 まとめ

MVVM は、少ないコードで UDF を実現しやすい実用的な選択肢です。

MVI は、Intent → Action → Reducer → State という流れを厳密に定義することで、State 遷移の予測可能性を高めます。

Google の現在の公式 Android ガイドは、MVI を推奨しているわけではなく、UDF + UI State + State Holder + ViewModel を中心に説明しています。

したがって、現代の Android では、


MVVM
  ↓
UDF + State
  ↓
必要なら MVI 的な Reducer / Action を導入

という考え方のほうが、「MVVM か MVI か」という二択よりも実際の設計に近いと言えるでしょう。

 

🧑🏻‍💻 参考


2026年8月31日 API レベル36+ の件

もう疲れました。

Google PlayアプリのターゲットAPIレベル要件
2026年8月31日から開始:

・ Google Playに提出される新規アプリおよびアプリのアップデートは、Android 16(APIレベル36)以降をターゲットにする必要があります。ただし、Wear OSおよびAndroid Automotive OSアプリはAndroid 15(APIレベル35)以降をターゲットに、Android TVおよびAndroid XRアプリはAndroid 14(APIレベル34)以降をターゲットにする必要があります。

・既存のアプリは、アプリのターゲットAPIレベルよりも高いAndroid OSを実行しているデバイスで新規ユーザーが引き続き利用できるようにするには、Android 15(APIレベル35)以上をターゲットにする必要があります。Android 14(APIレベル34)以下をターゲットとするアプリ(Wear OSおよびAndroid TV向けのAndroid 13(APIレベル33)以下、Android XR向け、Android Automotive OS向けのAndroid 12(APIレベル31)以下を含む)は、アプリのターゲットAPIレベルと同じかそれ以下のAndroid OSを実行しているデバイスでのみ利用可能です。

アプリのアップデートにさらに時間が必要な場合は、2026年11月1日まで延長を申請できます 。アプリの延長申請フォームは、今年後半にPlay Consoleからアクセスできるようになります。

👉 Target API level requirements for Google Play apps - Play Console Help

実質のユーザ利用の端末OSレベルが API 36+ で 22.3% ということなのですが。

アプリ開発側だけが辛い感じで。

みなさんは、どう思ってますか。


Jetpack Compose で巨大化した UiState をどう整理するか

見通しが悪くなった UiState を、責務ごとに整理する7つの方法

 

🧑🏻‍💻 1. Loading / Error / Success が混ざっているなら sealed interface にする

まず、ありがちなパターンです。

変更前:


data class UiState(
    val isLoading: Boolean,
    val error: String?,
    val items: List<Item>
)

- isLoading、error、items の組み合わせで画面の状態を表しています。
- しかし、これでは「Loading なのに items が入っている」「Error なのに isLoading が true」といった、あり得ない状態も作れてしまいます。

変更後:


sealed interface UiState {
    data object Loading : UiState
    data class Error(val message: String) : UiState
    data class Success(val items: List<Item>) : UiState
}

- Loading、Error、Success を、そのまま画面の状態として表現します。
- 状態を Boolean や nullable なプロパティの組み合わせで表現する必要がなくなります。

 

🧑🏻‍💻 2. フィールドが増えすぎたら、Sub-Stateにまとめる

UiState にプロパティを追加していった結果、何がどこに関係しているのか分からなくなることがあります。

変更前:


data class UiState(
    val title: String,
    val query: String,
    val items: List<Item>,
    val selectedCategory: Category?
)

変更後:


data class UiState(
    val header: HeaderState,
    val filter: FilterState,
    val list: ListState
)

data class HeaderState(
    val title: String
)

data class FilterState(
    val query: String,
    val category: Category?
)

data class ListState(
    val items: List<Item>
)


-「ヘッダー」「検索・フィルター」「リスト」という画面上のまとまりで整理します。
- UiState の中身を見ただけで、どの状態がどの役割なのか分かるようになります。

 

🧑🏻‍💻 3. UIだけで使う状態はComposableに閉じ込める

すべての状態をViewModelの UiState に入れる必要はありません。

変更前:


data class UiState(
    val items: List<Item>,
    val isExpanded: Boolean
)

変更後:


data class UiState(
    val items: List<Item>
)

@Composable
fun Screen(state: UiState) {
    var isExpanded by rememberSaveable {
        mutableStateOf(false)
    }
}

- isExpanded が画面の一時的な表示状態にすぎないなら、ViewModelに持たせる必要はありません。
- remember / rememberSaveable に移すことで、UiState をシンプルにできます。

例えば次のようなものです。

・一時的な展開状態
・アニメーションの状態
・Tooltipの表示状態
・フォーカス状態
・スクロール位置

ただし、スクロール位置などを画面復元やビジネスロジック上の理由で ViewModel 側に保持する必要がある場合は例外です。

 

🧑🏻‍💻 4. 計算できる値はStateとして持たない

「元のStateから計算できる値」まで UiState に入れてしまうと、Stateがどんどん増えていきます。

変更前:


data class UiState(
    val items: List<Item>,
    val filteredItems: List<Item>,
    val isEmpty: Boolean
)

変更後:


data class UiState(
    val items: List<Item>,
    val query: String
)

val filteredItems =
    state.items.filter { it.name.contains(state.query) }

val isEmpty = filteredItems.isEmpty()

- filteredItems は items と query から計算できます。
- isEmpty も filteredItems から計算できます。
- つまり、わざわざStateとして保存する必要がありません。
- ViewModelで StateFlow を組み合わせるなら combine や map、Compose 内で Compose State から値を導出するなら derivedStateOf などを使います。

 

🧑🏻‍💻 5. ViewModelまで巨大になったら、ViewModelを分ける

UiState が巨大になった原因が、そもそもViewModelがいろいろな責務を持ちすぎているケースもあります。

変更前:


class MainViewModel : ViewModel() {
    val headerState = ...
    val searchState = ...
    val contentState = ...
}

Stateを分けていても、ViewModel自体がすべてを管理しています。

変更後:


class HeaderViewModel : ViewModel() {
    val state = ...
}

class ContentViewModel : ViewModel() {
    val state = ...
}

@Composable
fun MainScreen(
    header: HeaderViewModel,
    content: ContentViewModel
) {
    HeaderSection(header.state)
    ContentSection(content.state)
}

- 「State を分割する」だけではなく、責務そのものを分けるという考え方です。
- ただし、Composable ごとに ViewModel を作る、という意味ではありません。
- 独立した責務やライフサイクルがある場合に検討します。

 

🧑🏻‍💻 6. 大量のデータを UiState に詰め込まない

数千件、数万件のデータをそのまま UiState に持たせるケースでは、そもそもStateの持ち方を見直します。

変更前:


data class UiState(
    val items: List<Item>
)

val uiState = repository.loadAllItems()

変更後:


data class UiState(
    val query: String
)
val items =
    repository.items()
        .cachedIn(viewModelScope)

- 検索条件などの画面状態と、大量のデータを分離します。
- Paging が適しているケースでは、Paging を利用して必要なデータを段階的に扱います。

 

🧑🏻‍💻 7. 1つの巨大な StateFlow に全部詰め込まない

すべての状態を1つの UiState にまとめることが、かえって分かりにくくなるケースもあります。

変更前:


data class UiState(
    val header: HeaderState,
    val search: SearchState,
    val content: ContentState
)

val uiState: StateFlow<UiState> = ...

変更後:


val headerState: StateFlow<HeaderState> = ...
val searchState: StateFlow<SearchState> = ...
val contentState: StateFlow<ContentState> = ...

@Composable
fun Screen(viewModel: MainViewModel) {
    Header(viewModel.headerState)
    Search(viewModel.searchState)
    Content(viewModel.contentState)
}

- 各 State が本当に独立しているなら、無理に1つへまとめる必要はありません。
- それぞれの UI が必要な State だけを受け取る形にできます。
- ただし、何でも StateFlow に分ければいいわけではありません。

 

🧑🏻‍💻 まとめ - どう整理するか


巨大な UiState
      │
      ├─ Loading / Error / Success が混在
      │       → sealed interface
      │
      ├─ フィールドが増えすぎた
      │       → Sub-State
      │
      ├─ UIだけで使う状態
      │       → remember / rememberSaveable
      │
      ├─ 計算すれば求められる値
      │       → Derived State
      │
      ├─ ViewModelの責務が多すぎる
      │       → ViewModelを分割
      │
      ├─ 大量のデータを保持している
      │       → Pagingなどを検討
      │
      └─ 独立した状態が混在している
              → StateFlowを分割

重要なのは、「UiStateの行数を減らす」ことではありません。

まず、今 UiState に入っているものを見て、


これは本当にStateなのか?
        ↓
UIだけのStateでは?
        ↓
計算できる値では?
        ↓
別の責務では?
        ↓
大量データでは?

と整理していくことです。

つまり、巨大な UiState は、Stateの責務を見直すきっかけと考えると分かりやすいです。

注意点:

- UiState が大きいこと自体が悪いわけではありません。
- StateFlow を細かく分けすぎると、今度は State 同士の関係が分かりにくくなります。
- sealed interface は、Loading / Error / Successのように本当に相互排他的な状態に使います。
- rememberSaveable に移すか ViewModel に残すかは、画面再生成やプロセス終了後にも復元する必要があるかも判断材料になります。
- Pagingも「List が大きいから必ず使う」というものではありません。

 

🤔 参考


Android アーキテクチャは Event-Driven UI から State-Driven UI へ移行している

Google の公式 Android ガイダンスは 2026年5月18日に更新され、ViewModel のイベントを UI State に変換することを明示的に推奨するようになった

これは、もはや単なる昔からのアーキテクチャ論争ではありません。

Google の Android ドキュメントは 2026年5月18日 に更新され、現在では明確に次のように述べています。

ViewModel events should always result in a UI state update.

ViewModel のイベントは、常に UI State の更新につながるべきです。

これは、ViewModel と UI の間の通信をどのように考えるべきかという点で、大きな変化です。

これまで Android では、次のようなパターンが一般的でした。


ViewModel
   │
   ├── UiState
   │
   └── UiEvent
          ↓
         UI

UiEvent は、Snackbar の表示、画面遷移、ダイアログの表示など、一度だけ実行したい処理によく使われていました。

しかし現在のガイダンスは、次の方向へ移りつつあります


ViewModel
   │
   │ UI State
   ↓
  UI

ここでは、簡単な Snackbar の例を使って、この違いを見てみましょう。

 

🤔 Event-Driven アプローチ

従来の実装は、例えば次のようになります。


sealed interface UiEvent {
    data class ShowSnackbar(
        val message: String
    ) : UiEvent
}

private val _events = Channel<UiEvent>()
val events = _events.receiveAsFlow()

fun save() {
    viewModelScope.launch {
        repository.save()

        _events.send(
            UiEvent.ShowSnackbar("Saved successfully")
        )
    }
}

UI 側では、このイベントを消費します。


LaunchedEffect(Unit) {
    viewModel.events.collect { event ->
        when (event) {
            is UiEvent.ShowSnackbar ->
                snackbarHostState.showSnackbar(event.message)
        }
    }
}

この場合、ViewModel は実質的に UI に対して次のように指示しています。


"Snackbar を表示してください。"

これが Event-Driven なアプローチです。

 

🤔 State-Driven アプローチ

現在の Android ガイダンスは、上記とは異なる方向を示しています。

ShowSnackbar を送るのではなく、ViewModel が UI State を更新します。


data class UiState(
    val userMessage: String? = null
)


private val _uiState = MutableStateFlow(UiState())
val uiState: StateFlow<UiState> = _uiState.asStateFlow()
        
fun save() {
    viewModelScope.launch {
        repository.save()

        _uiState.update {
            it.copy(userMessage = "Saved successfully")
        }
    }
}

fun userMessageShown() {
    _uiState.update {
        it.copy(userMessage = null)
    }
}

UI は State を監視します。


LaunchedEffect(uiState.userMessage) {
    uiState.userMessage?.let { message ->
        snackbarHostState.showSnackbar(message)
        viewModel.userMessageShown()
    }
}

この場合、ViewModel は次のように言っているわけではありません。


"Snackbar を表示してください。"

代わりに、次のように伝えています。


"現在、表示すべきメッセージがあります。"

どのように表示するのかは UI が決定します。

 

🤔 重要な違い

この違いは、単純に


Channel → StateFlow

という API の置き換えではありません。

本質的には次の違いです。

Event-Driven:


ViewModel
    ↓
"これを実行して"
    ↓
UI

State-Driven:


ViewModel
    ↓
"これが現在の状態です"
    ↓
UI

Google は、この違いを次のようにも表現しています。

「State は存在する。Events は発生する。」

もちろん、イベントそのものがなくなったわけではありません。

ボタンのクリックは、今でもイベントです。


User
 ↓
Button.onClick
 ↓
ViewModel
 ↓
State
 ↓
UI

重要な変化は、ViewModel → UI の通信が、一度きりのイベントではなく State を中心とする方向へ進んでいることです。

 

🤔 では、Event を使うのをやめるべきなのか?

公式ガイダンスは、Channel、SharedFlow、あるいはイベントそのものを禁止しているわけではありません。

むしろ、ViewModel のイベントを UI State として表現できないかを改めて考えることを求めています。

ViewModel を設計するときには、次の問いが役立ちます。

- ViewModel は UI に「何をすべきか」を伝える必要があるのか?

- 「現在何が起きているのか」を State として表現するだけでよいのか?

この小さな考え方の変化が、Android の UI アーキテクチャの設計を大きく変える可能性があります。

 

🤔 参考