【Android】Kotlin でモダンな concurrency その2

Dispatch

Dispatch は coroutine のキーとなる概念で、スレッド間を移動するアクションとなります。

現在の Java でいう runOnUiThread と等価です。


public final void runOnUiThread(Runnable action) {
  if (Thread.currentThread() != mUiThread) {
    mHandler.post(action);
  } else {
    action.run();
  }
}

Kotlin Android でのUIコンテキストは、Handlerをベースとして dispatcher が実装されています、

以下のように使います。


launch(UI) { ... }

launch(UI, CoroutineStart.UNDISPATCHED) { ... }

launch(UI) では、Handler 内の Runnable に postされますので直接実行されません。

それに対して、launch(UI, CoroutineStart.UNDISPATCHED) は、そのスレッドですぐにラムダ部分を実行します。

UI は、メインスレッドが resume されたとき、coroutine がそれに対して dispatch されるのを保証しており、 メインルーパーに post するというネイティブAndroidの Handler が使われています。


val UI = HandlerContext(Handler(Looper.getMainLooper()), "UI")

(つづく)

【Android】Kotlin でモダンな concurrency その1


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【Android】Kotlin でモダンな concurrency その1

現在の Java/Android の concurrency フレームワークはコールバック地獄の原因となります。

それは、スレッドセーフを保証するシンプルな方法がないからです。

kotlin coroutine は、concurrency を管理するための効果的でシンプルなフレームワークです。

Suspending と Blocking

coroutine は、スレッドを置き換えるものではなく、それを管理するフレームワークのようなものです。

元のスレッドをブロックすることなく、バックグラウンド処理完了に対しての wait を可能にする実行コンテキストを定義しています。

コールバックを避けて、簡単に concurrency を行ってみましょう。

基本

最初は非常にシンプルな例です。UIコンテキストで coroutine を起動し、その中でIOコンテキストでイメージを取得します。

その後、UIコンテキストに戻ります。


launch(UI) {
    val image = withContext(IO) { getImage() } 
    imageView.setImageBitmap(image) 
}

シングルスレッドのように直感的なコードです。

getImage() がIOスレッドで実行されている間、メインスレッドは、自由に他の処理を行うことができます。

withContext は、その coroutine を getImage() が実行されている間は中断します。

getImage() のあとすぐに、メインlooperが利用可能になり、coroutine はメインスレッドを再開します。

そして imageView.setImageBitmap(image) が呼ばれます。

 

次の例は、2つのバックグラウンド処理を完了させ、その結果を利用する、というものです。

async/await を使ってパラレルに実行し、それら両方の結果取得のあとメインスレッドでそれを利用した処理を行います。


val job = launch(UI) {
    val deferred1 = async { getFirstValue() }
    val deferred2 = async(IO) { getSecondValue() }
    useValues(deferred1.await(), deferred2.await())
}

job.join() 

async は launch に似ていますが、deferred (Kotlin版 Future) を返します。

そして、await() で結果を取得します。パラメータなしで実行した場合は、CommonPool コンテキストで実行されます。

前の例と同様に、2つの結果を待っている間は、メインスレッドは自由に処理を行うことができます。

例にあるように、launch は処理が完了するのを待つのに利用できる Job を返します。

「スレッドをブロックせず coroutine をブロックする」ということを除けば、他の言語と同様です。

(つづく)


Android Architecture Blueprints での コルーチンの使われ方

良い記事がたくさんあります。

Kotlin の Coroutine を概観する

入門Kotlin coroutines

読んでみましたが、きちんと理解できてる自信がありません!

MVPの中で、どのように使われているかAndroid Architecture Blueprintsで見てみましょう。

todo-mvp-kotlin-coroutines

すべての非同期処理をコルーチンで置き換えます。シンプルな非同期プログラミングとなり、直感的にコード書くことができます。

 

Presenter

非同期処置の記述はここが起点になります。


private fun loadTasks(forceUpdate: Boolean, showLoadingUI: Boolean) = launchSilent(uiContext) {
    // ...
    val result = tasksRepository.getTasks()
    // ...
}

TasksPresenter.kt#L69

メインのデータをリポジトリから取得する部分です。


launchSilent(uiContext) {
  // ...
}

CoroutineExt.kt#L18-L25

と見慣れない コルーチンビルダーがありますが、元の形に戻すと、


launch(
  context = UI,
  start = CoroutineStart.DEFAULT,
  parent = null) {
  // ...
}

AppExecutors.kt#L32-L35

です。

Presenterでは、launch() でコルーチンの起点を作っています。

Viewのメソッドを利用しないメソッドでは、コルーチンコンテクストは、DefaultDispatcher となり省略することができます。

 

Repository


override suspend fun getTasks(): Result<List<Task>> {
  // ...
  val result = tasksLocalDataSource.getTasks()
  // ...
 }

TasksRepository.kt#L49-L69


override suspend fun getTasks(): Result<List<Task>> = withContext(appExecutors.ioContext) {
  // ...
  Result.Success(tasksDao.getTasks())
  // ...
}

TasksLocalDataSource.kt#L34-L41

Repository -> LocalDataSource とサスベンドなfunctionが深く呼ばれていきます。

LocalDataSource では、Presenterでのlauch()時のコルーチンコンテキストから、withContext(appExecutors.ioContext) として、すべて、ioContext としての DefaultDispatcher に一時的に切り替えています。

 

まとめ

ざっくり、コルーチン関連の入れ子関係を書いてみると、


// presenter
launch(context = UI, parent = null) {

  // repository
  withContext(DefaultDispatcher) {
    // fetch data from database
  }

}

Presenter で launch() して、Repository末端(local/remote) で withContext() でコンテクスト切り替え。

もちろん、コルーチン内から呼ばれるのは、repository の suspend な functionず。